老人福祉法は1963年7月に施行された法律です。核家族化が進んだことにより高齢者の扶養が難しくなってきたことを受けて、高齢者問題に対処するために作られました。

老人福祉法に基づいて特別養護老人ホームや養護老人ホームなどの施設の整備が急速に進められました。利用には所得制限があり、助けを必要とする高齢者を支援する目的がありました。ただし、高齢者の介護が目的ではなく、高齢者が健康を保ち、生活を安定させ、社会に参加できるようにすることを目的としていました。

老人福祉法は「措置制度」です。対象となる高齢者は、行政が指定した施設に入居します。この措置制度は、2000年4月に介護保険法が施行されてからも継続しており、家族からの虐待や本人が介護サービスの契約を拒否しているなどの理由によって高齢者が介護サービスを受けられない時に適用されます。

老人福祉法に基づいて入所処置が行われる前に、まず市町村が、相談や通報に基づいて調査を行います。調査をもとに、健康状態や精神状態、家族や住居の状況などを総合的に判断し、入所措置を決定します。

老人福祉法の基づくサービスの1つは居宅サービスで、65歳以上の方を対象に自宅での入浴や排泄、食事などの介護を行います。

もう1つの施設サービスでは、65歳以上で自宅で介護を受けるのが困難な方が、特別養護老人ホームに入所して介護を受けます。また、民間の介護サービス事業者が運営する有料老人ホームで介護を受けることもできます。